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genseiichi

genseiichi (ae0001)

antipodes

genseiichi

これはk-town mountainside electronixの俊英genseiichiが記録した新しい標高だが、2012年”hello my friends.it’s me.”(SHRINE.JP)から2013年”blue”(jest records)へと続いてきた歩みの歩幅がここに来て大胆に大きくなっているようで、この二ヶ月で連続して発表された“existence”(birdFriend)と、参加したコンピレーション“E.X.P.L.O.D.E.”(The Irrational Media Society)とも異なった視座を獲得していて、これまでにあった、山の中腹から遠くに望む都市の光の明滅というような景観はなく、暗闇の中、更なる奥地と高みから微かに聴こえてくる音に耳を澄ませて、そちらの方へ疾走して行く、殆ど闇雲なまでの加速感がここにはある。ここにある音楽、自身が一つの「速度」となることによって鳴らされた三曲を聴いて、彼が何を置き去りにした(してしまった)かを確認してほしい。

彼の音楽はたった一つのシンプルなメッセージを発している。
「耳を澄ませろ」と。

例えば、誰の部屋にも無いけれど、夜道には何処にでも有るもの。
ある曲では街路樹が黒く揺れている音なのか、ハイハットの音なのかが聴き分けられない。また、ある曲では聴いている自分がのむ息に深いリバーブがかかる。その頃には暗闇に耳が溶け出しているだろう。魔法でも何でもなくて、ただ、彼の音楽があり、あなたが部屋を出ただけだ。

genseiichiとDurusinが始動したan epicレーベルからのイニシャルリリース”antipodes”
全ての夜道と全ての耳の為に、堂々の完成です。

review : taiji kawai(pnf)